【黒潮ジャーナル98/3/15】
「マリン雑誌4月号から」でヨッテイング誌に胸をときめかせたと書いた直後に、同誌の休刊のことを知りました。
まことに残念の極みです。
斎藤愛子さんから次のメールを頂きました。
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たいへん残念なことになりましたが、ヨッティングはしばらく休刊することにな
りました。出版社がみつかり、皆さんのお手元に戻ってこれるものか、今の日本
の経済状況ではよくわかりません。が、可能性を探して、あきらめることなく復
活する時を信じたいと思います。すみからすみまで読んでいただいていた森下さ
んには感謝しております。
私は少し休む間に充電したいと思います。今、舵誌を手にとって、「ヨットに乗
りたい」と思う人がいるのでしょうか。専門誌とはいえ、もっと夢があって、ワ
クワクする期待感がなければ、ヨットに乗ろうと思う新しいセイラーが生まれな
いのではないか、それでは日本からヨット乗りがいなくなってしまうのではない
か、そんな不安が私の中にたくさんあります。これでは自分が大切にしてきたス
ポーツが衰退してしまうのが見えていますから、何かしなければならないと思い
ます。残念ながら、舵誌では自分達の思うことを自由に展開する場がありません
でした。それで、ヨッティングを作り、ずっとやってきたわけですが、試行錯誤
を続けながら、やっと何かをつかみかけてきたところで、休刊というのも皮肉な
ものです。
しばらくは、ヨット協会の広報誌に海外のヨッティングについて連載していく予
定です。ヨッティングはアメリカスカップが始まる頃までには復活できるように
頑張ります。
3月10日に単行本「オリンピックをやめられない」を出しました。この30年
の私のヨットレースの物語です。フォースセブン(03−3456−6611)
から通販がありますので、ぜひ、1冊本棚のコレクションに加えてください。
斉藤愛子
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さらに続いて「ヨッテイング」編集部からもレターが届きました。3/16
(蛇足ですが、このレターを僕は初めてスキャナで読み込みました。日々進歩です。)
読者各位様
謹啓
1987年の創刊以来、読者の皆さまの暖かいご支援に支えられて発行してまいりました『ヨッティング』ですが、98年4月号(3月5目発売)をもって一時休刊させていただくことになりましたので、ここにお知らせいたします。長い間のご愛顧を深く感謝いたします。
思えぱこの11年間に、目本の経済、社会を取り巻く環境は大きく変遷しました。マリンビジネスの世界も例外ではありません。小型プレジャーボートの隆盛が市場を賑わせている一方でセイリングヨットが伸ぴ悩み、ヨットビジネスは厳しい環境におかれています。
創刊以来、ヨット界とともに歩み、ヨット・ジャーナリズムの世界で奮闘してきた『ヨッティング』ですが、こうした環境を乗り切るためにも、しばらくの間充電期間が必要になりました。これまで、『ヨッティング』を愛し、応援していただいた読者の皆さまには心からお礼申し上げます。
11年前の創刊号で、「海という雄大な自然を相手に、その恩恵を満喫し自由を謳歌できるスポーツは、ヨッティングに勝るものはない」と謳いました。その思いはいまでも変わりません。近い将来、ふたたび、読者の皆さまにお会いするときも、きっとこの言葉を謳うでしょう。「……ヨッティングに勝るものはない」と。
しばらくお別れです。これまでのご支援、本当に有り難うございました。
敬具
株式会社フォースセブン 代表取締役 本橋一男