狭いヨットの世界

 

Aさんの依頼で30Fのセーリングクルーザーのマリンサーベイを行った。Aさんはわがホームページを見て依頼してきた。

初対面であったが話しているうちに、Aさんが今乗っている38F艇のオーナーSさんは、僕が18年前に31Fの木造艇を譲ってもらったSさんであることが判明した。なんたる縁であろうか。

サーベイに行きながら聞いてみたらサーベヤーが同行することを先方に言ってないという。いまだにマリンサーベイが一般的になっていない現状で、いきなりサーベヤーが現われることは必ずしも得策ではない。
勿論あらかじめ了解を得ておけばなんの問題もないのだが、どうしても買いたい艇の場合相手の心象を害するのはよくない。そこで僕の立場を「Aさんが乗っている艇のオーナーの友人」ということにした。まったくの事実である。サーベヤーであることだけを伏せた。

艇は素晴らしい艇であった。

帰途、たまたまサーベイ艇のオーナーYさんと二人だけになった。Yさんは「黒潮丸さんではないか?」という。ホームページを見ているらしい。顔写真も出ていることだし白状した。
Yさんは「売りに出す前に自分もあなたに幾らの値をつけるか相談しようかと思った」という。

まったくヨットの世界は狭い。悪いことは出来ないのである。

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