ムーンライト・セイリング

01・12


12月27日
午後10時。下田から横浜に向けて出航。
終始8〜13メートルの向かい風であったが波は小さく冬には珍しい航海日和であっ た。
月齢13.3の月があたりを明るく照らし、そのために暖かく感じられるほどであっ た。
4時頃、月が山の端に没した。月の入りをこれほどに惜しんだことはない。
暗くなって寒さは一段と厳しさを増した。腕を振り足を踏んで凌いだ。
20年昔、30年昔にはこんな寒さを感じなかったのに。

東京湾に入り、ヘリコプターが飛来した。偵察?
目前に潜水艦が浮上するのを見た。
巡視艇のスピーカーで「そこのヨット。そのまま進むと本船航路に入ります。退避し
なさい。」と注意された。
四海、波高し。

横浜岡本造船に12時着。14時間、75マイルの航海であった。
それにしても岡本造船に繋いであるヨットはどれも老朽船だ。オーナーもきっとそう
なのだろう。ピカピカの艇は数艇しかない。岡本造船の人情が偲ばれる。

タイ・レストラン「タイクーン」が閉鎖していた。夏には営業していたのに。


追記
地球上で太陽の日中の明るさは10万ルックスという。
室内の照明の明るさは500ルックス。
それに対し満月の明るさは10ルックスだそうだ。(「つぼみたちの生涯」中公新
書)
 

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